大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(う)2377号 判決

被告人 柳東烈 外一名

〔抄 録〕

論旨は、原判決は被告人柳に対する有罪認定の証拠として「証人岡崎利彦の当公判廷における証言」を摘示しているが、右証人岡崎は、相被告人石井に対する関係で原審第四回公判期日において証人として取調べられたもので、記録上被告人柳に対する関係で証人として取調べられた形跡はないから、原審は、適法な証拠調のなされていない証拠を他の証拠に加えて、被告人の有罪の心証を形成したものであり、右訴訟手続の法令違反は判決に影響を及ぼすことが明らかであるというのである。

そこで、原審記録、とくに原判決の判文を調査、検討するに、所論指摘のとおりの違法が明らかに認められる。そして、原判決が被告人柳につき掲げるその余の各証拠によっても、原判示事実が必ずしも認められないわけではないが、記録上明らかな岡崎が本件において演じた役割の重要性からすると、同被告人の本件犯行に至る経緯、犯情、ひいてその刑責の程度に至大の関係のあることは否定できないところであって、原判決が前記岡崎証言を証拠に掲げたことをもって単なる誤記として看過することのできないことはもちろん、その違法の程度は判決に影響を及ぼすことが明らかであって、原判決はこの点において破棄を免かれないものというべきである。論旨は理由がある。

(服部 藤井 中川)

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